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2019年04月08日 [ニュース]

貧しく、せつなく、いじらしく

20190409

樋口一葉(1872.3.25〜1896.11.23)。
いまの5千円札の顔。

彼女の肖像は、日本銀行券としては女性で初めて紙幣に採用されました。
本名は樋口奈津。創作では「奈津」よりも「夏子」を用いることが多かったですね。
新聞掲載の小説には「春日野しか子」とありました。

『一葉』は、師事した半井桃水が、インドの達磨大師が揚子江を一葉の芦の葉(一葉舟)に乗って下った故事から取って奨めたとされています。彼女はこの逸話に、人生という波間を漂う自分自身を重ねていたのかもしれません。

「自分が見た人間の真実を描きたい。弱者の心の声を伝えたい」。
そんな思いから、1895年、遊郭界隈の子どもたちの世界を『たけくらべ』として「文学界」に連載開始。翌1896年に完結した『たけくらべ』を一括して発表するやいなや、森鴎外に「まことの詩人」と熱賛され、文壇での名声は絶頂を極めました。

しかし、人の運命のなんたる非情。苦労づくめだった一葉がやっと文壇に認められた矢先、肺結核が明らかとなります。長年の過労が原因でしょうか。
そして、同年11月23日。24歳6ヶ月という若さで夭折。あまりに早すぎる死です。

病没から16年。一葉が15歳から亡くなるまで9年間に書き溜めた44冊もの日記『一葉日記』が、彼女の妹によって世に出されました。そこには、かつての師(半井桃水)への想いが切々と綴られています。

『見苦しく、憎く、辛く、浅ましく、哀しく、淋しく、恨めしき、厭う恋こそ、恋の奥なりけれ』

こっちまで泣けてきます…。

台東区竜泉にある一葉記念館では、ことしもまたゴールデンウイークに記念催事が開かれるはずです。
私は今年も、「かな杉」でとんかつをほおばりながら、しみじみと一葉さんを想い、そして飲むのでしょう。

吉原の遊郭に程近いこの界隈は、一葉の代表作『たけくらべ』の舞台。そして、彼女が駄菓子屋&荒物屋で生業を立てていた地でもあります。

彼女は肺結核のため24歳6ヶ月という若さで他界しましたが、明治文学の至宝と称される代表作「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」の他、すべての作品をわずか14ヶ月という短期間に発表しており、文学界では、これを「奇蹟の14ヶ月」と呼んでいます。


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