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2019年03月12日 [ニュース]

生前相続に踏み切るタイミング

生前相続に踏み切るタイミング

元気なうちから、あるいは、認知症の兆候が出る前に、前もって子どもたちに「家のこと・おカネのこと」を託してしまう…。これを旧民法下では、「隠居」とか「家督相続」といって、親世代が60歳になると当たり前のように行われていた日本の慣習です。「家」の概念が実質的に消え去った今日では、聞きなれない言葉ですが、私は『現代版家督相続』を推奨しています。親の目が黒いうちに、贈与税を納めることなく財産を徐々に移管していく…という意味で、私は『生前相続』と称しています。
生前相続の具体的な方法は以下の通りです。国税がこの方法に目を付けたら、きっと手を打ってくるでしょうから書きたくないというのが本音ですが、まぁ書いちゃいましょう。

生前相続とは…。あるタイミングが来たら、親世代は自分名義の預金から最低限必要な金額のみを年金が給付される通帳に移します。で、それ以外の通帳は、エンディングのサポートをしてもらう子どもに、親名義のまま通帳・印鑑・キャッシュカード・暗証番号を引き継ぎます。子どもは、その通帳とキャッシュカードを親名義のまま使い、親のための生活援助金を毎月引き出して親に手渡します。
他にも、親に依頼されたエンディングサポートに係る費用は、その口座から引き出して充当します。もちろん、最後は自分のモノになるおカネですから、時々は自分や家族のために引き出すこともあるでしょう。そうしながら、徐々に親名義の口座の残高を減らしていきます。で、最終的に親のエンディングを迎える時までに、相続税が非課税となるところまで預金残高を減らすことができればラッキーということになります。
実家の土地と家屋については、名義人である親と、引き継ぐ子どもとの間で『財産管理委任契約』を交わすことで、親が介護施設に入った時点で譲渡(転売)の手続きに入ります。もちろん、子どもが実家に住むことを望むのであれば、その必要はありませんが。

いちばんむずかしいのは、親世代が「覚悟=現代版家督相続」を決行するタイミングです。認知症は、現代を生きるシニアにとって最大のリスクです。後期高齢者の50%がボケる時代なのです。そうなる前はいかに好き勝手に青写真を語っていようと、いざボケてしまったら、そんな青写真は水の泡。ボケたら最後、私たちは判断能力なしという烙印を押され、自分の人生でありながら、他者にコントロールされながら死んでいくしかない…。それが現代のニッポンなのです。
そればかりか、自分の子どもたちまでもが他者にコントロールされてしまう場合だってあります。成年後見制度の利用がその典型です。そうならないようにするのであれば、やはり親世代がボケる前に道筋をつけて、それを子ども世代に引き継いでいかねばなりません。
しかしながら、人間というやつは、歳を重ねるほどに我が強くなり、煩悩に執着してしまいがちな生き物です。「死」という考えたくもないテーマを意識の外に放りやって、肝心なことを子どもたちに伝えないままボケてしまう…。そういう、備えておかなかった親の子どもたちがいかに不便や不利益を被ることになるか。そんな多くのケースを見てきました。親世代ひとりひとりが、子どもにバトンタッチするタイミングを見誤らないようにしてほしいものです。

そのタイミングですが、大きくふたつあると思います。ひとつは、「後期高齢者(75歳)になったら」とか、「80歳の誕生日が来たら」とかいうように、具体的に時期を設定してしまうやり方です。あらかじめ子どもたちに財産を引き継ぎ年齢を決め、その時が来たら、例えボケていなくても代替わりを実行するやり方のです。
そしてもうひとつは、「周囲の人の誰かひとりでも、あなたの言動にボケの兆しを察知した時」です。引き継ぎのタイミングを具体的な年齢で決めておいたとしても、仮に75歳からすべてを子ども世代に引き継いで隠居生活に移行しようと考えていた人がそれより前の時点でボケてしまう場合だってあり得ます。そうなってしまうと、隠居生活に入るための準備が完了していない可能性がありますから、私としては、後者の時期設定のほうがお薦めです。
それでも問題は残ります。周囲の人があなたの変化に気づいたら…とは言っても、周囲の人があなたに遠慮も躊躇もなく、そんな残酷なことを伝えてくれるかどうか。伝えてくれたとしても、あなたがそうしたショッキングな話を真摯に受け止め、聞き入れてくれるかどうか。とても悩ましい問題です。
言い換えれば、この問題を凛としてクリアせんとするシニアこそが、「クールな老後(国や子どもに依存しない、自律したカッコいい老後)」の実践者といえるのだと思います。決して不可能なことではありません。きわめて少数派ではあるが、四捨五入百世代(50歳以上)に差し掛かった時点で、現代版隠居生活への準備を開始している賢明な人だっているのですから。親世代がいかなる引き際を演じるかで、子ども世代の不便や不利益にはかなりの差が生じてきます。わが子を想う気持ちがあるのであれば、是非とも「クールな老後」への一歩を踏み出してほしい。心からそう願います。


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