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2019年03月20日 [ニュース]

「問題行動を伴う認知症なら、モノ忘れ外来→保護入院→老健」

ある日突然おかしくなって、家庭も仕事も崩れてく。
医者や介護に疲れ果て、やっとこ施設に入れたけど。
ホッとするのはまだ早い・・・。
ボケてからではもう遅い。
遺したかった財産が、遺してくれた財産が、
凍結されて剥がされて、ほくそえむのはどこのだれ?
多くのひとが実はまだ、認知症の第二の悲劇に気づいていない………

認知症は、おそらく現代人がもっとも恐れている病気だと思います。
「認知症ドライバー、通学中の児童の列に突っ込む」
「認知症の老親をあやめた還暦の息子」
「踏み切り内で立ち往生の認知症老人、通勤通学の十万人を足止め」…。
こんな記事を見るたびに、私たちが長生きの代償として背負わされたものを痛感せずにはいれません。

認知症で厄介なのは、俗に言う問題行動(医学用語では周辺行動)と資産の凍結です。前者を指して認知症は怖いといわれることが多いのですが、周囲に迷惑をかける親を病院や施設に入れてしまえば、とりあえず家族には穏やかな時間が戻ってきます。
しかし、しばらくして親名義の財産に一切手をつけられないとわかると、家庭裁判所だの成年後見制度だの弁護士だの、それまでとは異次元の世界に引きずり込まれてしまうという意味で、後者は認知症の本当の悲劇と言っていいかもしれません。

周辺行動を伴う認知症の相談を受けた時、私は基本的に、 「モノ忘れ外来→精神科認知症病棟への保護入院→老健」という流れで対応しています。
認知症は最初が肝心です。同じ言動を繰り返す。表情がなくなる。身だしなみに気を遣わなくなる。匂いに鈍感になる。時間・場所・ヒトの認識があいまいになる…。

70歳も過ぎてこれらの症状が出てきたとしたら、ほぼ認知症に足を踏み入れたと考えてまちがいないと思います。まずは、周囲の人たちは、躊躇せずに指摘してあげるべきです。そりゃあ、周囲が認知症の兆候を指摘したとしても、本人は自分がボケているとは認めたくないでしょう。その気持ちは理解できますが、本当に家族のことを大切に思うのであれば、謙虚に受け入れて対策を講ずることが理想です。
最初の兆しが出てからの数ヶ月は、ボケている時間帯と正常な時間帯が断続的に繰り返される「まだらボケ」の状態が続くはずです。しかし、そうなってしまってからでは手遅れだで、その前に準備しておくべきことがあります。ですが、このあたりの話は「財産承継」のところに譲るとして、ここでは、暴言・暴力、暴食、徘徊、モノ盗られ妄想、作話、弄便等の問題行動を伴う認知症への対応について書いてみたいと思います。

以下が、こうした認知症に対する標準的な流れです。
まずは、近隣病院の精神科にてモノ忘れ外来を受診する。この際、クリニックや診療所ではなく、入院病棟のある病院に行くこと。で、診察を受けるだけでなく、医療福祉相談室の相談員にも時間を取ってもらい、入院希望である旨をしっかりと伝えることです。本人の症状に加え、家族の物理的精神的疲弊を強調したいところです。そうすることで入院時期を少しでも前倒ししてもらえる可能性が広がります。入院の日程が確定して、家族介護の期限さえ切られていれば、あとしばらくはどうにか家族介護の痛みやつらさに耐えることもできるというものです。
入院当日は、多くの場合、本人は嫌がり抵抗すると思いますが、クスリの力で眠らされ、そのままキャスター付きベッドで入院病棟へ運ばれていくことになります。ちなみに、これを、本人ではなく家族の意志で入院させるという意味で「保護入院」と言っています。
そして、3週間もすると、問題行動はほとんどなくなるケースがほとんどです。これもクスリの力です。
ただし、問題行動が緩和される一方で、元気なときのような覇気や活力のようなものは影を潜めていきますが、これは致し方ないことです。
2、3ヵ月もすると、病院(相談員)から退院時期についての話があると思います。その際は、病院に頼んで、老健(老人保健施設)もしくは特養(特別養護老人ホーム)を紹介してもらうのがいいでしょう。「老健は自宅復帰のための中間施設だから3ヶ月で退所しなければならない」というのが定説のようになっていますが、全国の老健の8割が看取り加算を計上していますし、実際問題として看取りに対応しているということを記しておきます。

私はこれまでに40人ほどの相談者に対して、「モノ忘れ外来→精神科認知症病棟→老健」の流れでサポートをしてきましたが、全員が老健での生活を継続中です(うち9名は老健にてすでに亡くなられました)。「3ヵ月経ったから出て行ってくれ」などと言われたケースは、皆無ではありませんが、きちんと事情を話せば、老健側でも考慮はしてくれるはずです。まちがいありません。
あと、念のため言わせていただくと、私としては、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅はお薦めできません。公的介護施設のほうが断然安いし、サービス品質だってそうは変わらないからです。


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